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クーペル解任、ザッケローニ就任で
     インテルはどう変わるのか
2003/10/24

ついにインテルの指揮官であった、エクトル・クーペルがミラノダービーでの敗戦とブレシア戦の引き分けを はじめとする成績不振により解任された。後任にはミラノのライバルであるACミランでの監督経験も持つ、 アルベルト・ザッケローニが選ばれた。これによってこの迷える巨人がどう変わっていくのかを考えてみたいと思う。

このコラムを書いている段階でチャンピオンズリーグでのロコモティフ・モスクワとのアウェーゲームにも 敗戦し、チーム状態はまさに最悪の一言。まずは、このチームのどこに問題があったのかを考えてみよう。

インテルは昨シーズン同様にオーソドックスな4−4−2を採用してシーズン開幕から戦っていた。クーペルの サッカーの特徴は、とにかく守備から入ること。攻撃の場面でさえ、いかに守備時のリスクを減らすかに主眼を 置いていたのではないかと考えられるようなサッカーが目立った。その理由として、選手が元のポジションから ブレイクして前に出て行くことがあまりにも少ない。必然的に個々の能力で突破するしかなく、グループによる 相手守備網の突破など望むべくも無い。その辺りは相手も研究済みで、ボール保持者に対して2人以上でプレスを かける事で高い位置でボールを取って速い攻めを繰り出すという、言わば「対インテル必勝法」のようなものが 出来上がってしまっていたのだ。この相手が取りに来るという事を利用して逆にスペースを突くというような 攻撃を確立できれば首もつながったのだろうが、6試合でたったの6得点では解任もやむなしと言ったところか。

さて、このような状態のチームを引き受ける事になったザッケローニはどのように問題を解決していくのだろうか。

ザッケローニはウディネーゼやACミランを率いた時には、トップにヘディングの強い選手を置いた3トップを 採用していたが、ラツィオを率いた時には4−4−2と3−5−2を併用していた事を考えると、それほど自分の 信じるシステムに固執する事は無いのだろうと考えられる。さて、今回はどのようなシステムを採用するのだろうか。 ここで、インテルの主要なメンバーを見ていくと、いくつかの特徴を見出す事が出来る。1つは絶対的なエース、 ヴィエリの存在だ。彼がこのチームの得点源であるという事実は疑いようもなく、彼を活かせないシステムを採用する 事は、まず考えられない。2つ目に、豊富なサイドアタッカーとセンターバックの存在だ。右サイドにはサネッティ、 左サイドにはキリ・ゴンサレスがいて、左右どちらも器用にこなせるファンデルメイデという選手もいる。また、 マルティンスも守備面での負担が無いに等しければサイドをこなす事はできるだろう。センターバックにも、コルドバ、 カンナバーロ、マテラッツィ、と豪華なメンバーが並ぶ。3つ目には、逆に層の薄いサイドバックと質に問題のある センターハーフだろう。ココの復帰は大きな歓迎材料だが、サネッティを中盤に使うと、ヘルベグしか残らない。 また、センターハーフも好不調の波が大きい選手が多く、あまりアテにならないのが現状だ。

こうなると、3バックにサイドアタッカー2人を加えた3−5−2、またはヴィエリをタワーに使った3−4−3の どちらかを採用する可能性が高いのではないかと予想している。3−5−2を採用すれば、レコバにある程度自由を 与える事も可能になるだろうし、3−4−3ならココなどの出場機会を確保できる。不安材料は3バックに必要不可欠な カバーリングに優れた選手が見当たらないという部分か。どちらにせよ、ヴィエリとフリオ・クルスの相性は見る限り 絶望的に悪いので、どちらのシステムでも同時にピッチに立たせる必要性を生む事が無いのもプラス材料か。

今後の日程を見て行くと、いきなり週末にホームとはいえ今シーズン好調のローマ戦があり、次にアウェーでキエーボと、 間髪入れずに、その3日後にはホームでロコモティフ・モスクワを迎え撃つというタフなスケジュールが組まれている。 この3試合さえ乗り切ってしまえば、リーグ戦ではホームでアンコナ、レッジーナという下位チームとの対戦が待っている。 この期間にある程度チームを作り上げる事が可能だろう。その2試合のあとは、もう後が無いアーセナル、リーグ首位の ユベントスとの強烈な2試合を迎える事になる。

まずは、今のインテルの選手達にこの厳しい状況を発奮材料としてもらい、1人1人がボールを持つ時間を少なくしながら 速いテンポでシンプルにつなぎ、それを周りがサポートしていくといった基本的な部分を思い出してもらいたい。 監督が代わっただけではチームは劇的には変化しない。まずは選手1人1人が自分達がビッグクラブの一員である事を 意識して欲しい。ザッケローニの手腕に期待するのはそれからだ。

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