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チャンピオンズリーグ決勝展望 2003.5.24

いよいよ、今シーズンの総決算のチャンピオンズリーグの決勝が近づいてきた。 対戦カードは、セリエA2連覇を決め、準決勝ではドリームチームといわれる レアルマドリーを下してきた、ユベントス。片や、シーズン開幕当初から、 カルチョに改革を起こすだけの攻撃サッカーを展開し、準決勝では同じミラノを ホームとするインテルを倒したACミランの対戦だ。

事前の評判ではユーベ有利と伝えられているが、実はそんな事は全く無い。 その理由を少しずつ検証していこう。

今シーズン、同じセリエAに所属するこの2チームの直接対決は、いずれも ホームチームが2−1というスコアで勝ち、実力が互角であることを感じさせる。 3月22日のミラノ、サンシーロでの対戦はスタンドで観戦するチャンスに恵まれた。 この時期は、ユベントスの10番デルピエロがスタメン復帰なるか?という時期であり、 一方のミランは特に怪我人も無くベストメンバーが組める状態であった。 結果はミランの2トップが1点ずつを取り、ユベントスはネドヴェドがFKを直接 蹴り込んだ1点にとどまり、2−1でホームのミランが勝利を収めた。

さて、気になる現在の両チームのチーム状態だが、双方ともに上向きと見ていいだろう。 攻撃陣も守備陣も上手くかみ合っていて、この1年でのベストゲームを見せられる状態に あると思われる。ただし、ユベントスは今シーズンこのチームを引っ張ってきたネドヴェドが この大事な一戦にイエローカードの累積で出場停止となり、この穴をどう埋めるかが この試合の鍵になると言ってもよいだろう。では、両チームのスタメンを予想してみよう。

GK:          アッビアーティ

DF:コスタクルタ  ネスタ  マルディーニ  カラーゼ   

MF:    ガットゥーゾ   ピルロ  セードルフ

               ルイコスタ

FW:      シェフチェンコ  インザーギ

ミランは9割方、このメンバーで来るだろう。変更点があるとすれば、GKの ヂーダが負傷から復帰できればスタメンもあるかという程度である。

一方、ネドヴェドが出場停止のユベントスは大体3通りのスタメンが考えられる。

GK:           ブッフォン

DF:テュラム   フェッラーラ  モンテーロ  ビリンデッリ

MF:ザンブロッタ  タッキナルディ トゥドール  ダーヴィッツ

FW:        トレセゲ    デルピエロ

一番オーソドックスなパターンとしてはこの構成だろうが、MFラインにはまだ 他にも2つの可能性が考えられる。

MF:カモラネージ  タッキナルディ ダーヴィッツ ザンブロッタ

MF:        タッキナルディ トゥドール

   ザンブロッタ      ダーヴィッツ    デルピエロ

1つ目のパターンはリッピが中央の2枚の連携を崩したくないと考えた場合であり、 2つ目のパターンは直接対決のミラン戦のアウェーゲームの前半で、デルピエロの位置に ネドヴェドを据えて使ったパターンだ。

おそらくは、最初のパターンが一番可能性が高いだろう。カモラネージは一時期の 切れが無く、決勝という舞台でシステム自体を変えてくる事は考えにくい。

では、この両チームの対戦の中でのポイントとなってくるマッチアップを 検証してみよう。ネドヴェドの出場停止で恩恵をこうむるのは間違いなくピルロだろう。 低い位置からボールを組み立てるであろうこの選手にしつこく挑みかかるネドヴェドが いないのは大きなプラス材料だ。また、ユーベの左サイドから飛び出しを図る ダーヴィッツには同じタイプのガットゥーゾがつく時間が長くなりそうで、ここの 対戦もキーポイントになりそうだ。また、ユーベのサイドアタッカーのザンブロッタと カラーゼの対戦も見所。スピードで劣るカラーゼがどれだけザンブロッタの突破を 止められるかは、中央で決定的な仕事をするトレセゲをマークするネスタ、マルディーニに 少なからず影響を与えるだろう。ミランのルイコスタはセードルフとの連携で、 2枚のボランチとセンターバックの間のスペースにどれだけ入り込めるかが、インザーギ、 シェフチェンコの決定力を活かせるかの鍵になりそう。サンシーロでの対戦では、 モンテーロ、フェッラーラがこの2トップに対してのスピード不足を露呈。テュラムは 中央のカバーへ気を配りながらの試合になるだろう。また、デルピエロは苦手とするタイプの コスタクルタ、ネスタ、マルディーニを相手にどれだけ攻撃に変化を付けられるかが鍵。 ここで押さえ込まれてしまうと、ネドヴェドのサポートが無いこの試合では、トレセゲが 孤立する場面も出てきてしまうだろう。

総合的に見ると、連携によって攻守を組み立てるユーベに対し、個人の力で対応する場面が 多いミランという事になりそうで、ユーベの中盤の選手間の距離が近いか遠いかで、 どちらのペースで試合が進んでいるか判断できるだろう。また、両チームともにタッキナルディ、 セードルフといった中距離砲。デルピエロ、ピルロというセットプレーキッカーもおり、 まさに実力は拮抗していると見る事ができる。

考えるほどに両チームは互角と言え、勝敗を予想するのは困難だ。90分では決着がつかずに 延長戦、PK戦という事態も十分考えられる中で、鍵を握るのは間違いなく先制点。 ヨーロッパのトップチーム、現状では世界で一番強いクラブチームを決めるこの試合を、 是非生中継で楽しんでみてください。

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